組み合わせ回路のメモ3

この記事では,組み合わせ回路についてのメモを書いていく.
Turning Completeをプレイしているうちに自分の知識が足りないと感じ,勉強しました.
今回は算術回路について主にまとめている
この記事は,自分用のメモなので勉強したいならうさぎ先生ととり先生の計算機工学の動画を見るとよいと思います.
また,使っている画像もうさぎ先生ととり先生の計算機工学の動画から参照しています.

加算器

計算機の中では2値信号が使われる.2値信号とは,0と1だけ,電圧が高いか低いかの信号.それらを組み合させて2進数をあつかう.

カルノー図を書けば,好きな回路は作ることができるが,とても大変.
算術演算には規則性があり,それを上手に扱えばよい.

加算は下の桁から順に1ビットずつ行っていく.それを行うために1ビット同士をの加算を行う半加算器がある.
また,用語としてキャリーアウトという単語がある.キャリーアウトとは,繰り上がりのことである.
下が半加算器の真理値表である.S(sum)はXOR,CO(carry out)はANDで表されることがわかる.

A (入力)B (入力)S (sum)CO (carry out)
0000
0110
1010
1101

加算において,下の桁からの桁上がりを考えることがある.しかし,半加算器は下からの桁上がりを受ける入力がない.桁上がりを受けられるようにつくれれた1ビット加算器を全加算器という.

A,B,CIの3数の加算を考える.全加算器は,半加算器を組み合させることで実現が可能.

1.A,Bの和を半加算器で計算する HA1
2.その和とCIの和を半加算器で計算する HA2
3.HA1とHA2のキャリー同士の和を半加算器で計算する HA3

ただ,もう少し簡単化できる.

HA1でのC1とS1は半加算器の真理値表を見ればわかるが,同時に1になることはない.C1と1と仮定すると,S1は必ず0になりHA2で出力されるC2は必ず0となる.そして,HA3に入力はC1が1でC2が0となる.
逆にC1を0と仮定すると,HA3の入力はC1が0でC2が0か1となる.
この結果から,最後のHA3は繰り上がりを考慮しなくてよい.よって最後のHA3はXORゲートに変えても構わない.

さらに,HA3に入力される値が同時に1となる場合はないため,ORゲートに変えても構わない.XORとORの違いは同時に1となるときだけである.
そして,XORはORより約1.5倍大きいのでORを使った方がいい.

論理式を使って表すと,
CO = A・B+(A⊕B)・CI = A・B+A・C+B・C (多数決関数)
S = A⊕B⊕CI

A (入力)B (入力)Cin (キャリー入力)Sum (和)Cout (キャリー出力)
00000
01010
10010
11001
00110
01101
10101
11111

また,1個の半加算器と(n-1)個の全加算器を使ってnビット加算器を作ることができる.
キャリー入出力を数珠繋ぎする.リップルキャリー加算器ともよぶ.
繰り上がりがない1桁目はHAを使って他の桁はFAを使っている.

n個の全加算器を使ってキャリー入力付きnビット加算器を作ることができる.(Turning Completeで出た)

オーバーフロー

計算機の中では通常扱うデータの桁数をあらかじめ決めておく
演算結果が表現できる範囲外の場合正常な演算ができない.
これをオーバーフローという.
例えば,8ビット(1バイト)の表現できる値は0~255までである.それを超えるとオーバーフローとなる.

加算器でオーバーフローの検出をするには最上位桁のキャリー発生を観測することで検出できる.

負の整数

計算機の中では”2値信号”が使われる.
符号(+と-)はビットの最上位桁を符号ビットとして使用して表している.
最上位ビットが0なら正数,1なら負数.

負の整数の表現法

よく知られる負数の表現法は3種類ある.

  • 絶対値表現
  • 1の補数表現
  • 2の補数表現
10進数絶対値表現1の補数表現2の補数表現
+3000000110000001100000011
+2000000100000001000000010
+1000000010000000100000001
00000000000000000
11111111
00000000
-1100000011111111011111111
-2100000101111110111111110
-3100000111111110011111101

絶対値表現は最も直感的であるが,最も使わない.

1の補数表現では表現したい数-Xについて2進数表記したXの全ビットを反転させて表現
例えば,-2の1の補数表現を考えると,+2は00000010であるため全ビットを反転させると,11111101となる.

2の補数表現では負の整数を1の補数表現で表しているものに+1してやればもとまる.
例えば,-2の2の補数表現を考えると,-2の1の補数表現は11111101であるため,それに+1をして11111110となる.

計算機中では2の補数表現が圧倒的によく使われる.
理由は加減算が楽にできるからである.

符号ありか符号なしかで表現できる範囲は変わる.
符号あり:-128~127まで
符号なし:0~255まで
符号ありの場合,+128は表現できない.これは,0がある分表現できる正数は負数より1戸少なくなるからである.

また,注意点として符号ありの場合異なるビット数の足し算をしてはいけない.必ず計算前に桁の拡張を行って,少ない方のビット数を多い方のビット数に合わせる必要がある.

桁の拡張

符号なしの場合:追加した桁を0で埋める
符号なしの場合:符号ビットの値をコピーし,追加した桁までその値で埋める.

符号あり加算器

符号あり加算器は,符号なし加算器と同様に計算することができる.
ただ,オーバーフローに関しては符号なし加算器のようには判定できない.
つまり,符号なしと符号ありとではオーバーフローの判定は異なるのである.
また,オーバーフローが発生したとき,符号ビットは正しい結果と比較し反転している.

結論から言うと,符号あり加算器の場合,オーバーフローが発生しているときは最上位桁でのキャリーと1桁下でのキャリーの一方のみが発生する.

これを判定するには,最上位桁でのキャリーと1桁下でのキャリーで排他的論理和をとればよい.

減算器

符号ありの場合も符号なしの場合も減数の符号を反転させて,加算を行えばよい.
Yの全ビットを反転させたものY’とすると,-Y = Y’+1 よりX – Y = X + (-Y) = X + Y’ + 1
また,この式はYが負の時でも成り立つ.全ビット反転させて1を足したものを元に戻すには,また全ビット反転させて1を足すと元に戻る.

加算器を使って作ると,式より全ビット反転させているので,インバータを使って加算器に入力する前に反転させればよい.+1に関しては,加算器のキャリー入力に1を入れる.+1をすることは最初の桁で繰り上がりを考えることと同義である.(ずっと最初の桁の繰り上がりを考慮する加算器の必要性がわからなかったが,このために使うのだなと納得した.あと,4ビットと4ビットの加算器を組み合わせて8ビットの加算器を作るときも使うのか)

そして,キャリー出力の扱いだが,その前にボローについて説明する.
加算器での桁上がり,繰り上がりをキャリーといったが,減算器の桁借り,繰り下がりをボローという.

加算を用いて減算を行ったときキャリーが発生する(しない)桁では,元の減算においてボローは発生しない(する)
このことから,キャリー出力を反転させればボローがあったかわかるボロー出力になる.
また,加算器にキャリー入力を持たせることができたように減算器でもボロー入力を持たせることができる.通常の減算器は加算器のキャリー入力に1を入れて作った.ボロー入力が欲しいときは加算器のキャリー入力を反転させてボロー入力BIとする.
BIが0なら下位桁らの桁借りが発生してないということ.(通常の減算器とボロー入力付きの減算器を組み合わせることでnビットの減算器を作ることができる.)

オーバーフローについて

符号なし減算においては減算器のボロー出力を観測することで,検出できる.


符号あり減算は減数の符号を反転させて,加算を行うため,オーバーフローの検出法は符号あり加算と同じで最上位桁とその下の桁の排他的論理和をとればいい.

比較器

2入力A,Bを比較する回路

A<B

A-Bを計算し,A-Bが負ならA<B

符号なしの場合,A-Bが負ならオーバーフロー発生.つまり,ボロー発生する.

符号ありの場合,A-Bが負A-Bの最上位桁が1ただしオーバーフローが起きている場合は符号ビットが反転しているので注意.
オーバーフローが発生したとき符号ビットは反転する.
このことから,オーバーフローが発生>>>符号ビットを反転させて正負を確認
       オーバーフローが発生しない>>>そのまま符号ビットの正負を確認

オーバーフローは最上位桁とその下の加算でキャリーが生じているか確認すればいいから排他的論理和を取ればいい.そして,符号ビットを反転させるには下のようなマルチプレクサで表される.
そして,マルチプレクサの論理式Z = A0・not(S)+A1・Sより,下のようなマルチプレクサは排他的論理和であることがわかる.
つまり,符号を反転させるのも排他的論理和でよい.

A=B

A=Bのとき1を出力するには,すべてのビットが互いに等しいことを調べる.
>>>一致回路(XNOR)をつかい,AND(入力1が入力数のとき,1を返すのしきい値関数)を取ればいい.

また,減算器を設けている場合は一致回路は使わないでA-B=0のとき1を出力する回路を作ってもよい.
A-Bのすべてのビットが0であることを調べる.
>>>NORゲートはすべての入力が0であるとき1

A=(定数)

A=(定数)のとき1を出力する回路
出力が1となるのは1行だけであるから,最小項から回路を作るとよい.

インクメンタ・デクリメンタ

インクメンタはA+1,デクリメンタはA-1を計算する回路.
加算器の一方の入力に00…01,11…11を入力することでもとまる.

算術演算回路

算術演算回路とは,制御信号S_0,S_1の値によって加算器,減算器,インクメンタ,デクリメンタになる回路.

コンピュータには五大装置があり,制御・演算・記憶・入力・出力である.
演算装置は制御信号に応じた演算を行い,制御信号は制御装置が送る.

加減算器

加算器と減算器,どちらの演算もできる組み合わせ回路を加減算器という.
マルチプレクサを使うことで作ることができる.
制御信号の値によって加算器としても減算器としても働くことができる.

制御信号Sが0のとき,AとBの値をそのまま加算器に入力,キャリー入力には制御信号をS,つまり0を入力
制御信号Sが1のとき,Bのビットを反転させて入力,キャリー入力には制御信号をS,つまり1を入力

また,マルチプレクサを見てもらうと気付いてほしいのだが,このマルチプレクサはXORゲートで置き換えられる.

ビット論理演算回路

ビット論理演算を行う回路
C言語における&, |, ~, ^

ビットごとに論理演算を行えばよい.

算術演算回路と同様,制御信号の値に応じてAND,OR,XOR,NOTのビット論理演算を行う
AND,OR,XOR,NOT,これらは4通りであるから,制御信号は2入力あれば4通りになる.

算術論理演算ユニット(ALU)

算術演算(加減算)とビット論理演算を行う
制御信号に応じて算術演算とビット論理演算を切り替える

シフタ

1ビット左シフトする回路
配線だけで作ることができる

2のべき乗を乗ずるまたは,2のべき乗で除するときに使用できる
後で説明する乗算器を使うより簡単
2進数では左シフトすることに2倍
     右シフトするごとに2で割ったことになる

右シフトについて注意しないといけないことがある
それは,右シフトする値の符号だ
符号なしの値には純粋に右シフトでいいのだが,符号ありの場合は算術右シフトをしないといけない
算術右シフトとは,新しい最上位ビットには前の最上位ビットを残して右シフトするというやり方だ.

バレルシフタ

指定された回数分シフトする回路
シフタを多段接続して作る
シフタはマルチプレクサを用いて制御信号によって制御する

乗算器

定数倍なら,左シフタと加算器を用いれば実現可能である
例.5A = 4A+A

変数×変数をやりたければ,乗算器を使う必要がある

乗算器は筆算と同じ要領で作ることができる
各桁でANDを取ってあげて(部分積),加算器で足してあげればよい

オーバーフローを考慮するなら被乗数,乗数をbビットとするとき,積を2bビットで表現すればオーバーフローは発生しない

キャリーセーブ加算器

たくさんの数の総和を求めたいときに使える
単に2数の和を求めたいときには使えない
和を求めることはできないが,加算の対象を3個から2個に減らすことができる

なぜそのようなことができるのかというと,次のような性質があるからである

2CO+S = A+B+CI
右辺(入力)は変数が3個
左辺(出力)は変数が2個

このことから,キャリーセーブ加算器は乗算のとき部分積の和を取るときに変数を減らすことで加算の数を減らすことができる

このような上の写真の右の回路をWallace木と呼ぶ

複数のキャリーセーブ加算器が並列に配置され,高速な加算を実現しているのが特徴
8ビットでは恩恵を感じにくいかもしれないが,ビット数が増えるとわかりやすいかも

Wallace木を用いて部分積の加算を行う乗算器をWallace乗算器と呼ぶ

符号あり乗算器

符号あり乗算は,素直に筆算すると値が変わる
これらは,被乗数と乗数の桁の拡張をしてあげるとよい
拡張する桁は,被乗数,乗数をbビットとするとき,2bビットまで拡張すればよい

符号あり乗算器を実現する方法でもっといい方法がある
それは,2の補数表現における数の一般式から得られるらしい(あんま理解できてない)

式は上のように表される

結果だけいうと下写真のように筆算すれば求まる

MAC演算

D += A × Bという演算をMAC演算と呼ぶ

ニューラルネットワークや画像処理などで非常によく使う計算である

非常にニーズが強いため,よく議論されているらしい

今回はスルーする

この記事を書く上で参考にしたもの

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