この記事は,大学の授業と教科書を参考に作成した記事です.
今回は通信の形態と要求についてまとめました.
ネットワーク,通信に興味がある人に読んで参考にしていただけたらいいと思います.下のキーワードを見て,興味がる単語があるならぜひ読んでください.
キーワード
有線通信,無線通信,片方向通信,単方向通信,双方向通信,半二重通信,全二重通信,ユニキャスト,ブロードキャスト,マルチキャスト,ネットワークトポロジー,バス型,リング型,スター型,メッシュ型
情報ネットワークの役割と構成
ユーザーが情報を受け取ったり,送り出すネットワークをアクセスネットワークといい,情報の中継伝送はアクセスネットワークの先につながるコアネットワークで行われる.
コアネットワークは一般には高速・大容量のネットワークである.アクセスネットワークには,電気のケーブルや光ファイバを利いようするもの,あるいは電波を利用するものなどさまざまな種類がある.これに対して,コアネットワークでは主に光ファイバを用いた高速・大容量通信が行われる.
情報通信ネットワークは下のように示すように多くのアクセスネットワークとそれらを結ぶコアネットワークから構成されている.
通信の形態
ネットワークはいくつかの視点から分類することができる.
今回は,以下4つの視点からネットワークを分類していく.
1.伝送媒体
2.通信の方向
3.通信相手の数
4.ネットワークのトポロジー
ネットワークのトポロジー
簡単にいうと,ネットワークの接続形態を点と線でモデル化したもの
参考サイト
伝送媒体による分類
情報は電気または光の信号に変化されて送受信される.
信号が流れる媒体を伝送媒体,信号が流れる物理的な経路を伝送路という.
伝送媒体に電気のケーブルや光ファイバを用いる通信が有線通信
空間(電波)を用いる通信が無線通信
有線接続はケーブルや光ファイバの敷設が必要でそのためのコストや時間はかかるが,ノイズの影響を受けにくいため高品質な通信を実現できる.また,セキュリティ的にも強い通信である.さらに光ファイバ等を用いれば超高速の通信を実現できる.
無線通信はケーブル等の敷設が必要ではないため,通信システムを早く展開することができる.さらにユーザーが移動しながら通信することもできる.しかし,無線通信はセキュリティの確保が難しい.また,周囲の環境の影響を受けやすく通信品質の確保が難しいという課題もある.
有線通信:伝送媒体に電気のケーブルや光ファイバを用いる通信
無線通信:空間(電波)を用いる通信
必要性
有線接続:高性能な通信,セキュリティが強い
無線接続:低コスト,素早く展開できる,線がないため機器をユーザーが使いやすい
通信の方向による分類

画像はPPT – 第2章 伝送とプロトコル PowerPoint Presentation, free download – ID:1353207より参照
2つの端末間の通信は信号が流れる方向に着目すると上の写真のように片方向通信,双方向通信に分けることができる.ここで端末とはコンピュータまたは通信機器のことである.
片方向通信(単方向通信)では一方の端末がつねに送信側となり,他方の端末がつねに受信側となる.
双方向通信では両方の端末が送信側になり,かつ受信側にもなる両方の端末が送信側になり,かつ受信側にもなる.双方向通信はさらに半二重通信と全二重通信に分けられる.半二重通信では端末は送信中に受信できず,また受信中には送信できない.つまり信号は一度にひとつの方向にだけ流れる.これに対して全二重通信では送受信が同時に行われ,両方の端末は送信しつつ受信することができる.
半二重通信はひとつの伝送路で実現できる.全二重通信は送受信を同時に行うために伝送路が2つ必要であると思われるが,必ずしもそうではない.また今度触れることになるが,周波数分割多重や波長分割多重などの技術を使えばひとつの伝送路で全二重通信が可能となる.
片方向通信:一方の端末がつねに送信側となり,他方の端末がつねに受信側となる通信
双方向通信:両方の端末が送信側になり,かつ受信側にもなる通信
半二重通信:端末は送信中に受信できず,また受信中には送信できない通信
全二重通信:送受信が同時に行われ,両方の端末は送信しつつ受信することができる通信
必要性
片方向通信は,送信する側の送信機と受信する側の受信機だけで済むためコストがかからない.またシステムがシンプルでコストが安い.また,通信が一方通行だから衝突や制御の負担が少ないく通信トラブルが起きにくい.
半二重通信は,1本の通信路・アンテナ・回路で共有できる.全二重通信は別の経路が必要であり,コストもかかる.また無線通信では混信・衝突を避けやすく(特に無線)自分の送信が自分の受信をかき消してしまう自己干渉が起こるが,半二重なら送ってる間は受信しないのでそういった問題を回避しやすい.
全二重通信の必要性はわかりやすいので省く.
通信相手の数による分類

上の写真はユニキャストとは?仕組みと他の○○キャストとの違いまで解説します – FreshVoice(フレッシュボイス)より参照
通信相手の数に焦点を当てると3つに分類できる.
2つの端末間で通信を行う形態を1対1通信という.電話は1対1通信である.1つの端末が複数の端末と通信を行う場合は1対 N通信という.また,複数どうしで通信を行う場合は N対N 通信という.
テレビ放送は1対 N通信であり,多地点TV会議は N対N 通信である.
単一の端末に送信することをユニキャスト,あるネットワーク内のすべての端末に送信することをブロードキャスト,特定の複数端末に送信することをマルチキャストという.キャストは「投げる」という意味で送信することを表している.
1対1通信ではユニキャストが行われ,1対 N および N対N通信ではブロードキャスト,マルチキャストが行われている.
1対1通信:2つの端末間で通信を行う形態
1対 N通信:1つの端末が複数の端末と通信を行う形態
N 対 N通信:複数どうしで通信を行う形態
ユニキャスト:単一の端末に送信すること
ブロードキャスト:あるネットワーク内のすべての端末に送信すること
マルチキャスト:特定の複数端末に送信すること
ネットワークトポロジー

上の画像はLANの基礎を丸かじり:ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(4)(2/2 ページ) – @ITより参照
ネットワークトポロジーとは,機器どうしの接続の形態をさす.4種類のトポロジーを紹介する.
コストを抑えたい,耐障害性を強めたい(セキュリティ)などの用途に合わせてどのトポロジーを選ぶべきかは変わる.
バス型:複数の機器がひとつの伝送媒体を共有する形態
リング型:機器どうしが輪の形に接続される形態
スター型:中央に集線装置(ハブ)があり,それぞれの機器が集線装置を介して接続される形態
メッシュ型:ネットワーク内のノードが互いに直接つながっている形態
スター型とメッシュ型は個別配線型(媒体非共有型)トポロジーという.
特徴は3つあり,
1.リンク,ノードを共有しないため,盗聴されにくい>>>セキュリティが高い
2.リンクが全二重通信の場合,データの衝突が発生しない
3.ピア・ツー・ピア接続,必要なノード同士だけが直接通信するので,無駄がない
バス型,リング型は媒体共有型トポロジー
特徴は3つあり,
1.リンク,ノードを共有しているため,盗聴されやすい>>>セキュリティが低い
2.複数のホストが同時にデータを送信すると衝突が発生する
媒体アクセス制御方式を使って対処する
3.道が1本で済むので伝送路コストが低い
スター型
例)イーサネット,光アクセス系
長所)セキュリティが高い
端末の追加と削除が容易
短所)中央ノードが故障すると全体が停止
メッシュ型
例)サーバー系LAN
長所)信頼性が最も高い
短所)ケーブル量が多い
端末数の増加に伴い回線長が飛躍的に増加>>>利用効率性低下
バス型(最近は使われない)
例)初期の有線,LAN
長所)伝送路コストが低い
端末の追加と削除が容易
短所)インターネット回線や電話回線にアクセスが集中すること(輻輳)に弱い
一か所でも断線すると全体が機能しなくなる
盗聴の恐れ
リング型
例)トークン形式を用いたLAN
長所)制御が容易
回線長が比較的短い
短所)伝送路が故障すると全体が停止
運用中に端末の増設と撤去が不可欠
ノード
ネットワークにおける機器のこと,コンピュータ,プリンタ,ルータなど
リンク
ノードとノードの間のデータの通り道のこと,ケーブルや電話回線など
情報通信ネットワークへの要求
情報通信ネットワークに対して,セキュリティ,信頼性,性能の3つの要求がある.この3つはどれも重要であるが,優先度をつけるとすればセキュリティが最も高く,次に信頼性,その次に性能となる.また,この3つは互いにトレードオフの関係になることがある.つまり,1つに比重を置きすぎると他が損なわれる可能性がある.
まとめ
この記事では、情報ネットワークを構成する通信の「形態」と「要求」について、4つの観点から解説しました。
伝送媒体(有線と無線)
- 有線通信は安定性・セキュリティ・高速性に優れるが、敷設コストが高い。
- 無線通信は配線不要で展開しやすく、モバイル環境に適しているが、環境やセキュリティの影響を受けやすい。
通信の方向
- 片方向通信は一方通行(例:テレビ)でシンプルかつ低コスト。
- 双方向通信は相互通信を可能にし、さらに半二重(交互)と全二重(同時)に分かれる。
- 状況やコストに応じて、通信方式を使い分ける必要がある。
通信相手の数
- 通信は、1対1(ユニキャスト)、1対N(ブロードキャスト)、N対N(マルチキャスト)といった形で分類される。
- 通信の目的やスケーラビリティに応じて適切な形態が選ばれる。
ネットワークトポロジー(構成形態)
- ネットワークの接続構成には、バス型・リング型・スター型・メッシュ型の4種がある。
- セキュリティ・コスト・信頼性・運用性のバランスにより、適切なトポロジーを選ぶことが求められる。
情報通信ネットワークへの3つの要求
- セキュリティ(最重要)・信頼性・性能の3つの要素は、すべて大切だが、互いにトレードオフの関係にもあるため、状況に応じた最適化が必要です。
コメント